如何にもジャームッシュ監督らしいスノッブな雰囲気が鼻につくのだが、名手ロビー・ミュラーによる深淵なモノクロ撮影と主演ジョニデの飄々としたオーラで退屈せず観れる佳作ウエスタン。
この映画は果たして【哲学的】なのか?
どちらかと言えば都会の疲れた生活に飽きた主人公が大自然に身を投じて【こんな生き方もアリじゃね?】みたいな体験をする一種の教訓話のような作品である。ある意味で人生の指南書、自分探しのような作り。
主演ジョニデの魂の居場所を案内するインディアン役の大男の演技が堂に入っており素晴らしい。アカデミー助演男優賞ものである。
【武士道とは死ぬことと見つけたり】といった悟りをテーマとする辺りは、次作『ゴースト・ドッグ』や『パターソン』でも垣間見れる。ジャームッシュの作風はどちらかと言えば『無』を最終到達点とする仏教・東洋思想に近いものを感じる。個人的には。
もしかしたらジャームッシュは本来は作家やビートニク詩人になりたかった人なのかも知れない。実際、コロンビア大学の文学部出身だし。🤔
不屈のロッカー、ニール・ヤングの轟音サウンドも印象的。🎸