シネラー

ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼットのシネラーのレビュー・感想・評価

3.5
新世界へと移行してから初となる、
「ONE PIECE」劇場版を初鑑賞。
少し物足りないと思う部分もあるが、
敵側へのドラマ性が魅力的な映画だった。

物語としては、
NEO海軍を率いる元海軍大将ゼットが、
麦わらの一味や海軍と
新世界の命運を懸けた三つ巴の戦いを
繰り広げていく内容となっている。
"ストロングワールド"が麦わらの一味
視点での物語になっていたのに対し、
本作はゼット側の目的に対しての動機や
過去が多く描写されている為、
単純な勧善懲悪となっていない
人間模様が描かれていると思った。
それでいて海賊を憎む
海軍大将だったゼットが、
海軍にすら失望した事で
歪んだ信念で決起するというのは、
同情的になってしまう
今までの劇場版の敵キャラクターにない
人物だった。
又、元海軍大将である青キジが、
ルフィ達を手助けする部分も多く、
彼のキャラクターが好きなだけに嬉しかった。
こういった原作キャラクターの登場が、
製作に原作者が関わる事での
利点だと改めて感じられた。
戦闘場面においては、
冒頭にかけての海軍大将同士の
ゼット対黄猿の戦闘が、
個人的に一番盛り上がった場面だ。
ルフィとゼットの最終対決も、
お互いに大技を使用しない、
単純な殴り合い
というのが胸を打つところだった。

ゼットの生い立ちが語られ、
結末もゼットの回想で締めくくられるだけに、
序盤から描写してくれていたら
もっと感情移入できたと思うところだった。
又、ゾロ、サンジと戦う
ゼットの教え子二人の強敵感が薄く、
派手な決着もないのは残念だった。
その上、篠原涼子のアフレコは
気になる部分だった。

ドラマ的な内容の濃さで言えば、
「ONE PIECE」の劇場版でトップクラス
の内容だと思う程に、
漢同士の信念のぶつかり合いが描かれた
作品だった。
シネラー

シネラー