幕のリア

好色一代男の幕のリアのレビュー・感想・評価

好色一代男(1961年製作の映画)
3.7
おんなを喜ばせる事が生き甲斐の世之介。
街道という街道を全国膝栗毛。
市川雷蔵の軽妙な弁や所作は天から舞い降りた堕天使の如し。

井原西鶴の原作は8巻からなる世之介の人生を描いているらしい。
ロードムービー設定は本作ならではなのか、映画一本にコンパクトにまとめられた脚本は見事。
ただ、土地折々の風土が感じられないのは残念。

原作の世之介が一生のうちに戯れたのは女3000人、男700人程だと言う。
増村保造ならば男色パートで過剰な演出がないのは勿体無いが、世之介の一貫したキャラを中心に描かれているため、余計な要素とばかりに排除されたのだろう。

真打若尾文子様登場は終盤わずか十分程。
一気に作品に色気が増すのを見ると、ロードムービーか、若尾文子のファムファタール物か、絞っても良かったのかとも感じた。

1961年。
好景気を何度か経験した日本社会。
ラストで日本を飛び出す世之介に時代の変化を感じる。

玉緒演ずるおまちがニヤリとするシーン、これ一つで本作のジャンルをホラーとしたのは誰だ?(^^;;
幕のリア

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