ひでG

火垂るの墓のひでGのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
4.0
反戦映画、戦争の惨さを全編にわたり、辛すぎるくらいに描いていることは言うまでもない。
映画館で初見してから、毎年のようにテレビ放映され、その都度観てしまい、だんだん泣くシーンが増え、ついにファーストシーンの節子とうじょうでもう号泣するようになってしまった。
妻などは「観るのが辛い」と拒否するようになってきたが、また今夏観てしまった。
しかし、今回はある決意?をして観ることにした。泣かないで観ようと。
そうすると、別の側面が見えてきたよつに思えた。
この映画で誰もが感じることは、あのおばさんの冷たさである。子供二人ぐらい置いてやればいいじゃないの?と誰もが思う。
おばさんだけでなく、劇中の大人たちは皆冷たい。お医者さん、畑で盗んだことを折檻する農家の人、それからファーストシーンの駅員。大体駅に死体があっても「汚いな」なんて蹴飛ばすなんて。
可哀想な兄妹の物語のほかに、実はこの「冷たい大人たち」というのが、第二のテーマなんじゃないだろうか。
おばさんを始め、冷たい大人たちも心底悪い人たちではないはず、普通に生きてきた人たちに違いない。
しかし、戦争が彼らを変えていった。本来だったら幼い子供たちを気にかけて、優しく接することができる大人たちを変える、人間性を奪う、
そんな戦争の心理的な惨さをも示してくれている気がします。
観るのも辛い気持ちもわかるけど、忘れてはいけないことかな、奥さん!
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