ピッコロ

火垂るの墓のピッコロのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
5.0
4歳と14歳で、生きようと思った

もう二度と観ないと決めた映画が自分の中にいくつかある。
その一つがこの作品だ。
一度観たら、忘れることのできない辛すぎる映画。
ただ、ただ、悲しい。

ジブリといえば宮崎監督と高畑監督。
ジブリを観て育ってきた自分にとって、どこか心にポッカリ穴があいた気持ちである。
高畑監督作品は宮崎監督と比べると大人向けの作品が多い印象。
「おもひでぽろぽろ」で果物の王様がバナナだと知り、「ぽんぽこ」で自然の大切さを学び、「山田くん」でほのぼのし、「かぐや姫」でアニメの新しい表現力を知った。

高畑監督の作品は、いつまでも人々の記憶の中で生き続け、心の映画館に大切にしまってある。


自分は、数年前まで戦争映画をまったく観ることができなかった。
たくさん映画を観るようになってから、色んな映画を観るようになった。
何がキッカケだったかは忘れたけど戦争映画も観るように。

だけど、この作品だけは、観ていた。
これは、後で知ったのだが、この作品はトトロと同時上映だったみたいで、驚いたのを覚えている。

前半は清太と節子が微笑ましかった。本当に仲の良い兄妹。
この瞬間がずっと、続けばいいけどそうはいかない。

清太と節子は二人だけで生きていくことを決心する。
ただ、二人は若すぎた。
清太は大人ぽくみえるが、まだ14歳だ。
だけど、大人は誰も助けてくれない。
自分ひとりが生きていくのに精一杯で他人に手を差しのべる余裕がない。
これが戦争。

戦争は悲しさしか生まない。
いつも犠牲になるのは戦争と無関係な人々。
せめて、節子だけはと願うが結末は変わらない。
どんなに祈っても、戦争は命をたくさん奪っていく。

だんだん、戦争を体験した方達が少なくなってきている。
と同時に生の声を聴く機会が少なくなってきている。

人間は同じことを繰り返す悲しき生き物。
いつか、この国でも戦争が起こってしまうかもしれない。
そんな時に、戦争の悲しさ、悲惨さを伝えるこの映画は大事であり誰もが一度は観るべき映画ではないだろうか。

丘の上から現在の世界を見下ろす清太と節子。
今もどこかで見てるのだろうか。

平和になったこの国を。

🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬🍬

"ぽつぽつぽつ"と蛍の光。
"からからから"とドロップの音。
おいしそうにドロップを頬張るその笑顔。
ゆっくり、ゆっくり歩いて行こう。

2018/04/14 01:11 金曜ロードショー
ピッコロ

ピッコロ