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火垂るの墓のフリンジのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
5.0
もうすっごい泣いた。止められなかった涙。

日に日に衰弱していく節子の姿に胸が締め付けられました。もう見てられない。

私もだいぶ前に鑑賞した記憶はありましたが当時も相当精神的に打ちひしがれた気がします。歳を取りさらに感性豊かになってしまった今の私では涙を流さないという選択肢はありませんでした。唯一嗚咽は我慢できました。一人で見てたら辺り一面水見出しですわ。

隣で見てた嫁さんは真顔で観てて私だけ鼻水ズルズルしてたんですけど、あれ?今一緒に見てるよね?ホントに同じ物見てる?ってなりました。

いや、別に泣くのを強要してるわけじゃもちろんないですが、あまりの温度差に私がおかしいのかと感じてしまいましたwww

まぁ
ちょうど私の娘も節子と同い年くらいなので感情移入半端なかったのもあります。急に愛おしくなり寝てる娘をそっと抱きしめたのは内緒です。

兄妹が自分達だけではどうにも出来ないもどかしさや周りの大人達の塩対応。みんながみんな生活に困窮し突然の空襲に怯え医療設備もないなか生きなくてはならない。

清太が盗みを働くのも生きるため。病院の先生に逆上したり父の死を知って怒鳴ったり、今思えば仕事探したりとかやっぱりおばさんの家にいた方が良かったんじゃとかもっと上手いことやれたんじゃ...という考えが浮かびますが、両親不在で妹と二人きり、周りの大人にも冷たくされ飢えで苦しんでる中で冷静な判断ができるでしょうか。

この映画は自ら孤独の道を選んだ兄妹の物語です。そうせざるをえなかったしだからこそ観てて胸が痛い。

戦争というやつは本当にろくでもない。くだらないものだなと感じると同時にこの映画から戦争を取ったらただただ平和に暮らす兄妹しか映らなかったはずです。たくさん辛いことや苦しい事はあるでしょうけど餓死したり盗みを働いたりはしなかったはずです。

見る年代によって感想が変わる貴重な映画だと思います。

ちなみに私もエンディングは清太が駅で倒れてるシーンが印象的だったんですが、あれは昔ロードショーで放映された時の編集バージョンだったらしく、今回放送された2人が現代の街並みを見下ろすという何とも切ないエンディングが本家らしいです。


火垂るの墓
劇中でも蛍が出てきましたがタイトルの「火垂る」火が垂れるは空襲や焼夷弾の意味らしく、この映画はそれによって亡くなった方、またはそれが原因で亡くなった方々への追悼の意味があったのかもしれないですね。
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