チーズマン

火垂るの墓のチーズマンのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
4.1
小さい頃にテレビで観て、あんまり悲しい気持ちになったからそれ以来一度も観てなかった。

ちょうど読んでた高畑勲著の映画本が面白くて、タイミングも夏のこの時期だったからだいぶ久々に観てみたらやっぱ強烈だった。
例えば『この世界の片隅に』とは作品のベクトルの向きが全く逆で内へ内へとすぼまって行くようだった。

子供の頃からの強固なイメージだったいわゆる反戦映画と一括りにするにはもったいないほど重層的な映画。
だから時代を超えても観続けられるんだろうけど、逆に言えば時代性によって捉え方が変わって観れるようになってる恐ろしい作品。

本で高畑勲が言ってた「これは心中物なんです」というのが印象に残った。
その上で観るともちろん悲しい話なのはゆるぎないけど、そこに“美意識”と“残酷さ”が入り混じってますます余韻の底が見えない作品となった。
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