はんそく負け

斬るのはんそく負けのレビュー・感想・評価

斬る(1968年製作の映画)
5.0
ある藩にやってきたやくざ者の主人公・弥源太は、たまたま若い武士たちが家老を暗殺する場面に居合わせてしまう。しかしその武士たちが真の黒幕に騙されていることを知った弥源太は、秘かに彼らに協力しようとする。

以前岸田森目当てで鑑賞済みの本作でしたが、改めて観てその面白さに圧倒されました。まず、岡本喜八仕込みのギャグの一つ一つが非常に笑えるうえに、映画のテンポを全く崩していないのです。本筋がシリアスなお話のため下手を打つと邪魔にしかならないのですが、必然的とさえ思える辺りに監督の手腕を感じます。
そしてその本筋やコメディ描写を支えるのが役者陣。弥源太を演じるのは仲代達矢なのですが、飄々とした言動やユーモア溢れる切り返しの数々が堪りません。登場人物中でも普通に最強なのにも惚れ惚れします。もちろん岸田森もめちゃくちゃカッコいい役所を演じていますよ!

単に私の好きな俳優が集まっているのも満点の理由ではあるのですが、そうじゃなくても大満足の娯楽ハードボイルド時代劇だと思います。