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夜叉のtjZeroのレビュー・感想・評価

夜叉(1985年製作の映画)
3.8
主人公(高倉健)はかつて切った張ったの世界に身を置いていたが、足を洗って北陸で漁師をしている…。

健さん自身が若い頃任侠映画の数々で名をはせ、歳を重ねてから徐々に人情味あふれる役にシフトしていった…というキャリアと本作の役柄がピッタリとシンクロしていて感慨深い。

そんな武骨な男の生きざまにひっそりと寄り添うような、しみじみとした演出(降旗康男)も味わい深い。

後半は大方の予想通り、主人公が元の世界に巻きこまれていく展開となるのだが、そのきっかけを作るのがビートたけし。
包丁を片手に暴れ回るシーンはムキ出しの抜き身みたいでゾ~ッとさせられる。ライフル持ったターミネーターよりも怖い。”鬼に金棒”よりも”たけしに包丁”(笑)。

他のキャストも、たけしの情婦であるが健さんが守らざるを得なくなる居酒屋の女将を田中裕子、主人公の過去を知りつつ健気に支える妻にいしだあゆみ、健さん映画常連の田中邦衛&小林稔侍…とアンサンブルよく多彩。

北陸の、観ているこちらの手がかじかんじゃう様な、凍てついた波浪と漁村を捉えた撮影(木村大作)も美しい。

冬の時季に観るのにふさわしい、厳しい寒さと、じんわりとしたぬくもりが感じられる作品。