超空間コベ

ひろしまの超空間コベのレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
4.0
『原爆の子』映画化に当たり
近代映画協会と袂を分かった
日教組が、同『原爆の子』原作で、
広島市、広島市民、各団体の
全面協力を得て製作した競合作品。

同じ原作でこうも違うかってくらい
全くの別物ですね。
手記集だから、切り取る所で全く
違ってくるのは当然なんだけど、
そういう事ではなくて。

あの、阿鼻叫喚の地獄絵図を
再現する事に注力した点。
実際に被爆した方も出演されて
おります。

この先、どれだけ撮影技術が
進歩して、よりリアルな再現が
可能になったとしても、
この作品が持つ説得力には
敵わない気がします。

「今後70年は草も生えないだろう」
と言われ絶望する被爆患者に、
院長先生は、
「庭に植えた大根が芽を出せば…」
と、希望を託すのだけど…。

芽が出たからどうした、って
感じに加え、その直後、ずっと
水やりをしてた看護師の女性に
放射能症が現れてしまう、という
何ともネガティブな展開に
やり切れなさが止まりません。

生者と亡者が一体となって
原爆ドームに集う、ラストの
大行進には、生易しい綺麗事の
入り込む余地を感じさせません
でした。

女生徒へのデリカシーを著しく
欠いた教師(?)、岡田英次先生。
彼の物語は、アラン・レネ監督
『ヒロシマモナムール/二十四時間の情事』
へと続く様です。☆
超空間コベ

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