horahuki

鮮血の美学のhorahukiのレビュー・感想・評価

鮮血の美学(1972年製作の映画)
3.7
後味の悪〜い胸糞映画…。
『エルム街の悪夢』のウェスクレイヴンの初監督作。『13日の金曜日』で有名なショーンSカニンガムが製作という、ホラー好きには夢のようなタッグによるスラッシャー映画です。

あらすじ…
17歳の誕生日、友達とライブに行く主人公マリー。道中で、テンション上げるためにマリファナを買おうと売人っぽい人に話しかけるも、そいつは最近刑務所から脱獄したばかりの殺人鬼の一味だった。連れて行かれた先で監禁されてしまう2人。そこで残虐非道な目に合うという話。

序盤、主人公が家族と団欒するほっこり映像が流れる。殺人鬼グループに捕まってからは、行方不明となった娘を心配する家族と、主人公たちが非道な仕打を受けるシーンを交互に見せるため、日常・非日常の対比による胸糞具合がハンパない。雑なカメラワークがドキュメンタリーのような雰囲気を醸し出し、嫌〜なリアリティを感じさせるし、殺人鬼一味のクズ具合も胸糞展開に拍車をかけます。

しかもクズたちの行為が、なんというかリアルで怖い。最初に誰が強者で誰が弱者なのかという力関係を知らしめた後は、トーチャーポルノ的な行きすぎた拷問をするわけではなく、2人の精神を徐々に徐々に食い潰していく。それが、見てるこちらの精神まで抉ってくる。

希望をチラつかせながらの展開もニクい。2人がクズたちのオモチャにされてる場所と両親が住む家、クズたちの行方を追う警官の位置関係を冒頭でしっかりと植え付けるため、助かる?助からない?で視聴者の気持ちを揺さぶりハラハラさせてきます。

そして、この映画の見どころはやっぱりクライマックス!両陣営が同時にとある重大な事実に気づくのが面白い。そっからのテンション爆上げ展開もナイス!『ファニーゲーム』と志してるところは若干違うものの、本作も、強者による弱者への暴力に対する嫌悪感を感じさせる良作です♫
horahuki

horahuki