河豚川ポンズ

SPL/狼よ静かに死ねの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

SPL/狼よ静かに死ね(2005年製作の映画)
4.0
香港ノワール、そしてドニーさん入門編な映画。
香港ノワールと言えば「インファナル・アフェア」とか「男たちの挽歌」だろ!と映画廃人諸兄たちからお𠮟りを受けそうですが、我らがドニーさんが主演なので許していただきたい。

香港の裏社会で暗躍する組織のボスであるポー(サモ・ハン・キンポー)。
とある事件によってチャン刑事(サイモン・ヤム)らのチームによって逮捕され裁判を受けることとなるが、裁判当日に出廷するはずであった証人と護衛のチャン刑事らが何者かに襲われてしまう。
それにより裁判は証拠不十分としてポーは釈放、証人の男は亡くなり、彼の娘だけが取り残されてしまった。
そしてチャン自身にも脳腫瘍により余命がもう長くないこと、さらに妻が流産したことを知る。
彼は証人の娘を養子として引き取り、ポーの逮捕に自らのキャリアと文字通り人生をかけることを決意する。
そして3年後、チャン刑事らはポー逮捕の糸口がつかめないまま、ついに退職予定の日が間近となる。
残り少ない時間の中で無謀な勝負に打って出ようとするチャン刑事たち。
だがそこにやってきたのは、犯罪者を殴って障害を負わせたという物騒な過去を持つ、チームの後任のマー刑事(ドニー・イェン)であった。

正直初見で最初の30分ほどの展開をいきなり理解できる方はいないと思うので、さすがにそこは少し不親切なのは仕方ないですが、そこからは渋くて熱い、原題の「殺破狼」よろしく血生臭い男達の復讐劇が繰り広げられます。
まさに香港ノワール感たっぷりなストーリーです。

そしてこの映画の偉大な点は、男のドラマにド派手なアクションを融合させたところです。
監督のウィルソン・イップと主演のドニーさんはこれが初めての共演であり、そこから「導火線」「イップマン」シリーズへと繋がっていく、言わば彼らのメモリアル的な作品なのです。
とにかくアクションは素晴らしいの一言に尽きます。
ウー・ジンとの一騎打ちやサモ・ハン・キンポーとの闘いは10年近く経った今でもベストバウトと言えるような神がかったカッコよさがあります。
なかなかレンタルショップに置いていなかったりするので観るのは意外と難しいのですが、とにもかくにも一度は見てみてほしい映画です。

あと「ドラゴン×マッハ!」ことSPL2も公開されましたが、前作の関連どころか監督も主演も違うので、1も気になるけどこっちも見に行きたいという方は、安心して先にこちらを見に行っても大丈夫でしょう。笑