イロカワ

ベティ・サイズモアのイロカワのレビュー・感想・評価

ベティ・サイズモア(2000年製作の映画)
5.0
 トッド・ソロンズ、テリー・ツワイゴフと並ぶアメリカンニューウェーブの鬼才、ニール・ラビュート監督のイタイ人間讃歌映画。
 レネー・ゼルウィガーといえば、ブリジット・ジョーンズの日記で沢山の人間の虚構と現実のバランスをぶち壊してきた女優だが、この作品はそんな彼女にはピッタリの役柄。
 倦怠期の夫婦、レネー・ゼルウィガー演じる妻は家庭を暖めることを諦めて三流医療ドラマに夢中。そんなある日、家に帰ると旦那が殺し屋に殺されてしまう。あまりにショッキングな出来事で、彼女は現実と虚構の境が分からなくなり、医療ドラマに出演しているイケメン俳優に会いに行く。犯行を目撃された殺し屋はそんな彼女を見つけ出すために追跡を始める。
 現実と虚構の境が分からなくなると、主観視点で悪夢のような世界が描かれる作品もあるけど、この映画は違う。どこまでも客観視点。現実というリングで気が狂っていく主人公をボコボコにしていく。どこまでも突き離して描くが、決して見捨てることはない作家性はまさにニール・ラビュート監督ならでは。
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