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ベティ・サイズモアのSSDDのレビュー・感想・評価

ベティ・サイズモア(2000年製作の映画)
3.9
■概要
クズ男を亭主にもつ控えめで優しい女性がとある事件をきっかけに、記憶が混濁。
自身がずっと観ていた昼メロの登場人物と恋仲と勘違いする。
全てを捨てて実在する人間としてよりを戻しに旅に出てしまうのだが、事件の関係者や周囲の人間達も巻き込んでいく…。

■感想(ネタバレなし)
フォロワーのこぅ閣下からのレコメンドを頂き拝見。今まで観たことのないタイプの作品で戸惑う。

アメリをガイリッチーかタランティーノが作ったらこんなんかなとか、色々考えたけど、適切な例えがわからない。

コメディ要素の部分が精神的に傷ついて記憶を混濁した女性であること、彼女は本当に起きていることだと思っているのが周囲にはイカれてると扱われる痛々しさに振っているのが、笑えなくて痛々しくてきつい。

ただそれを薄れさせるのがレネー・ゼルウィガーの笑顔。ブリジットジョーンズの日記でブレイクして(観た記憶にないけどジャケットやタイトルは有名で認知していたが)この独特の雰囲気はすごいなとは思う女優さん。

どこか痛々しくて、ユーモラスでもあり、ほのぼのとするし、ハラハラもできるという不思議なサスペンス映画でした。

確かに2000年代のラブコメとかあまり観なかったから既視感あるような作品は他にもあるもしれません。あー…内容まったく覚えてないけどブラピのザ・メキシカンとかかな?












■感想(ネタバレあり)
・コントラストの強さ
ほんわかとした作風からいきなり、亭主が殺される際のゴアが頭皮を剥ぐというなんとも残忍な手法が絡むため、かなり驚く。
もちろんベティが記憶を混濁するほどのショックという理由づけとして必要なのだが、観てる側もかなりセンセーショナルであまりのコントラストの差に戸惑う。
この作品の見せ方のうまさはここにあるなとは思う。…先日観たリメイクウィッカーマンもこれくらいしてくれ。

・ユーモラスな会話と狂気
モーガンフリーマンの冷静でプロ意識や自分のこだわりを異常もつ殺人犯役がかなり良く。礼儀を重んじて無駄な折衝や争いはできるだけ避けるが、荒事となれば即座に判断を下す役柄が素晴らしい。
ただベティに幻想を抱きすぎてストーカーと化してるのは狂気すぎる。

・勧善懲悪
最終的には勧善懲悪だし、昼メロの主演俳優も根性が悪いため痛い目を観るし、探そうともしなかった怠惰な警官も痛い目をみてる。
最終的な帰結の仕方がベティが女優になるというのはアホらしいが、この作品らしいオチ。

・総評
やんわり平和な女性が、突如残忍な殺人目撃をして壊れ、ロードムービーになるというストーリーの展開に痺れるし。
勘違いとはいえ俳優をその気にさせていく展開も面白かった。ラストの方の綻びはあるものの終始展開の読めないサスペンスに満足した。
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