まめだいふく

ブラッド・バイターのまめだいふくのレビュー・感想・評価

ブラッド・バイター(1989年製作の映画)
3.0
 当時、ハリウッドで活躍していた日本人SFXアーティスト、スクリーミング・マッド・ジョージが製作に関わった、米伊合作のホラー。
 スクリーミング・マッド・ジョージ(本名 谷 譲治)という人を全く存じ上げなかったので調べてみたら、日本のTVCMもいくつか手掛けていたり、あのビッグ・ボスこと新庄剛志が現役だった頃に、パフォーマンスとして被っていたマスクを作ったりしたらしい。

 さて本作、恋人とドライブ中に左手を蛇に咬まれた男性が、次第におかしくなっていくという内容。この蛇が突然変異したミュータント・スネークで、アメリカ陸軍が地下で行った核実験により誕生したらしいのだが、そのことについては劇中で深堀りされず、最終的に軍と戦うという話でもないため、それっぽい話を世間話レベルで語るガソリンスタンドの爺さんの情報から推測するしかない。
 で、主人公が蛇男になるのかと思いきや、蛇化するのは咬まれた左手だけ。ミギーならぬヒダリー。その左手が、主人公の意思とは関係なく、人々を次々に襲う……のだが、その展開になるまでがとにかく遅い。必要とは思えないシーンや会話が多く、じれったい。そもそも、蛇に咬まれるまでもかなり焦らすし。

 肝心の人を襲うシーンもアップにし過ぎで、しかも暗いので、何が起こっているのかが分かりづらく、いまいち恐怖を感じない。

 最終的に主人公は、もうわけのわからない異形になってしまうが、それでもなお、愛する恋人だけは殺したくないという、わずかに残っている人間の心が垣間見え、なんだか哀れで悲しくなってくる。それだけに、あのあっさりしてる結末は納得いかない。

 脚本をいろいろ練り直して、今の映像技術でリメイクすれば、化ける可能性もある気がする。
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