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鉄男 TETSUOのNAOKIのレビュー・感想・評価

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)
3.7
これはこの「鉄男」が作られるよりもっと前の話…

まだ学生だったおれは夜中に部屋でひとり映画を観ていた。邦画だった…その映画が終わり画面にはエンドロールが流れている…

主要な出演者たちがあらかた出終わると…画面全体に小さな名前がぎっしりと並ぶ…この大勢の中に未来のスターがいるかもな?って思うあの画面…

その中の一人の名前がふと目に留まる…「田口トモロヲ」…なるほど漢字ばかりの名前の中でこういう字面(じづら)は目に留まるなぁ…何とか目立とうと必死なんだろうな…売れない役者なんて…そう思った。

それから…邦画を観る度にエンドロールで「田口トモロヲ」を見つける度に「お!いた…またいた!」って喜んでたんだ。

ところが…である…それから何本もの邦画を観ても…そのどの作品にも「田口トモロヲ」はいるのだ…「こんなことってある?」「全ての日本映画に出てる男?」

まだネットどころか携帯も普及する前の話である…おれはこの「田口トモロヲ」にあるホラ話を作り出した。

数人の友達がおれの部屋にきてみんなで映画を観たとき…それが邦画だったのでおれはみんなにこんな話をした。
「田口トモロヲって知ってる?」皆は首を振る…
「田口トモロヲは売れない役者だったんだけど…とある撮影現場の不慮の事故で亡くなったんだ…」
「それで田口トモロヲはその映画に出ることも叶わなかったんだけど…仲間たちが夢なかばで倒れた彼を追悼してエンドロールに彼の名前を載せたんだ…映画は大ヒット…それからこの名前をエンドロールにこっそり載せるのが日本映画界の慣例になったって話…田口トモロヲは日本映画界の守り神みたいなもんかな…」

もちろんこれはおれのホラ話…そんな話をしてるうちに観てた映画のエンドロール…画面に並ぶ大勢の名前…友達のひとりが叫んだ!
「あ!田口トモロヲだ!本当にあったあった!」

おれの話をすっかり信じていたみんなはさすがにこの「鉄男」が出たとき、おれに騙されてたことに気づいたのだった…

この映画…「桐島、部活やめるってよ」で映画部の神木くんが映画館で橋本愛に出会ったときに上映されてたやつ…
橋本愛ちゃんにドリルチンチン見せるったぁ…吉田大八監督…あんたって人は変態だなぁ😺

この「鉄男」の監督の塚本晋也も主演の田口トモロヲも今や日本映画界を支える重鎮ですね…

田口トモロヲ様
その昔…勝手に亡き者にしてしまって申し訳ありませんでした…しかしけっこう早い時点であなたに注目した古いファンであるとも言えると思います…
よりいっそうのご活躍をお祈りします😁💦
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