イルーナ

ロスト・ワールド/ジュラシック・パークのイルーナのレビュー・感想・評価

3.4
とあるブログで「史上最悪のヒロイン」が登場すると紹介されていた映画。
そこの漫画があまりにも面白かったのでずっと気になっていたのですが、昨日の金曜ロードショーでついにお目にかかる機会が。
で、その内容はというと……
うん、サラ本当にヤバいな。あのブログの言ってることがあまりにも的確過ぎる。

登場するや否や、ステゴサウルスの子供に触りまくったあげく、パシャパシャ写真撮影→ステゴ親子を怒らせて襲われる

檻の中の恐竜を逃がす→ハンターたちのキャンプが壊滅し、結果的にその後の帰還が困難になる

怪我をしたティラノの子供を治療しようとトレーラーに連れ帰る→怒ったティラノ夫婦の襲撃を受けてトレーラーが崖から落ちそうに→一行を助けようとしたエディは悲惨な死に方をする羽目に

「ティラノサウルスは恐竜の中で2番目に鋭い嗅覚を持っているのよ!」→ティラノの子供の血がべっとりついた上着を洗わずにいたせいで再びティラノ登場、多くのハンターが犠牲に

という具合に、無能な働き者という言葉を地で行く活躍ぶりを見せるサラ。しかも何の反省もお咎めもなし。
サラと共に恐竜を逃がしたり、子ティラノを連れてきた同じく戦犯のニックもやはりお咎めなし。
マルコム博士が「みんな自分勝手な奴ばかり」とぼやいていたけど、いやまったくその通りでぐうの音も出ない。
あの漫画を先に見ていたから笑えるけれど、これ予備知識なしで観た人は心底イライラしただろうな……身勝手な奴ばかり尽く生き残る。
ラストのハモンドのメッセージも一見いいこと言ってる風で、「全ての元凶たるお前が言うな」だし。
(一応新社長はやられたけど……)

シナリオも明らかに不自然な部分が多く、特にティラノを詰みこんだ船の船員がバラバラになって全滅しているの、「ティラノは貨物室内にいる上に、サイズ的にこの操舵室には入れないはずなのになぜ……?」と思った人が多そう。
あれ船に紛れ込んでいたラプトルにやられたからで、そのラプトルもティラノにやられて全滅したらしい。
そういやニックも舞台がサンディエゴになってからぱったり出番がなくなったな……
本作の脚本の方がティラノに食われているのが、もう何とも言えない皮肉。しかも「第18回ゴールデンラズベリー賞最低脚本賞」にノミネートされる始末。

とはいえ一作目が映画史に残るエポックメイキングな作品だったから、苦労したのがうかがえる。
前作にあった学術的な部分はもう周知されてしまっているから、パニック映画に徹さざるを得ない。
そのしわ寄せで、サラを始めとした登場人物のバカっぷりが強調されることに……
とりあえず、完全に巻き込まれ事故のような状況から無事生還したマルコム博士お疲れさま。
そしてたった一人であまりにもやることが多すぎる状況に追い込まれても、最後まで戦い続けたエディに合掌。
イルーナ

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