「素材が一流でも調理次第で三流になる」と海原雄山に言われてしまいそうな作品。佳作。
揃えた素材は、雪山、孤児院、ロシア、謎の少女…と色々と発展しそうな雰囲気のものを取り揃えており、特に主役を演じる彼女はなかなかの掘り出し物。思春期女子の可愛らしさと不気味らしさが混在している感じがベストキャスティングです。
が。
そこからの調理(脚本という素材も悪かったのかもしれませんが!)が、いかんせん宜しくない。こういう作品は『見せ過ぎ』てはいけないのです。観客の想像力を信じて勿体つけるべきなのです。
同級生を突き落としたのは誰なのか?
シスターが行方不明になったのは何故なのか?
という謎を提示しながら、少しずつ見せていくべきだったのです。
おかげで『恐怖』という名のスパイスが半減し、一級品の素材が勘違いした色ボケ婆に成り下がってしまったのです!
特に物語終盤の展開については…。
遠距離操作型のスタンドは姿を現さないのが鉄則なのですよ!
…ということで、調理ミスが散見されますが、ぞわっとする場面もありました。特に物語中盤の「光」を用いたトリック(あまり詳しく書くとネタバレになりますが)は絶妙。なかなかの一品でございました。
余談ですが、彼女の正体が発覚したときに、パタリロの一エピソードを思い出しました。正直、あちらの方が怖かったなあ。
「どうもぅ」
って、誰も分かりませんね、こりゃ。