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海辺のポーリーヌのcyphのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
4.6
前回観たときはいちばんど真ん中ストレート球という印象だったけど、改めて観るとアンリの邪悪さがかなり異色で(クレールの膝の主人公よりもひどい)とりあえずおすすめリストからは外れるな、となった それにしてもアマンダ・ラングレは最高 ロメールはきちんとした教育を受けることを何より大切にしていたため本作の撮影はアマンダ・ラングレの学業を優先するため実際のバカンス時期に合わせて行われ、その後もロメールの教えを忠実に守った彼女は民俗学の学士号を取得し『夏物語』では民俗学を専攻する大学院生役を務めたというエピソード ロメール女優たちの作品と人生が美しく交わっていく様子を象徴していてだいすき(魚住桜子『映画の声を聴かせて』はこういう小咄が各ページ詰まってるので超おすすめです)


2018.2.17 新文芸坐オールナイトにて
いちばん整っていて瑞々しいロメール それはひとえにポーリーヌの若さ賢さ強かさが物語の支柱となっているからなんだけど 真夏の光に照らされる彼女の気の強い瞳としなやかな肢体、それだけでずっと観ていられる 言葉の選び方もずっと気が利いていてずっと安心ずっと気持ちいい

作中、男女6人がそれぞれに海辺と別荘を往復しながら愛について語り愛を遂行し合う 各人の愛に対する確信が強ければ強いほど場は混乱し物語は喜劇に近づいていく 少女は全てのくだらなさをきつく睨みつけながらごく一般的なフランス人さながらにひと夏のロマンスを経験する これこそセラヴィ、これこそロメールのバカンスという映画 オチも含め女たちの強かさが光ってて美しい もう一回みる
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