まりぃくりすてぃ

海辺のポーリーヌのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
4.9
『ほとりの朔子』の方が馴染めるもん。私は日本人だから、途中まではそう呟きたかったりした。
けど、だんだん、生まれた時からフランス人の自分って気がしてきて、スクリーン内の一人一人に感情移入しまくり。悪役アンリにもね。

ウインドサーファーの青年ピエールが、♂なんだけど内面的には私に一番似てる。「誠実さに重きを置くけど、相手の心を支配したがるのが玉にキズ」なとこ、分身みたいで、ほっとけない。。

前半の、美魔女とも平凡熟女のなりかけともつかぬマリオンにわがピエールが説教してるアジサイの庭で、マリオンさんを初めて普通にお人形みたいに超綺麗と思えた。
中盤、♂同士(悪役アンリ対ふらふら少年シルヴァン)の話し合いの丁々発止に、ドキドキの私、ニヤニヤ。
終わりらへん、アンリとポーリーヌ。これも見応えある戦い。
────いずれも、「大人になりきった者 vs 大人じゃない者」だね。違う?

アジサイの手鞠咲きと枯れ始め。そんな推移もきちんと取り込んでる丁寧な映画。アジサイって、枯れてしまえばチョン切らない限り翌春頃までぶっ枯れたままで、全植物中最も老醜(?)をさらしやすい庭花だと私は前々から思ってる。(と、あくまでもピエール寄りの論を張る。)

さて、そっけない終わり方。交通事故シーンへ突進するのかとちょっと杞憂しただけに。。。

[Bunkamura ル・シネマ “すべて恋しき若者たち”]