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海辺のポーリーヌのmotoのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
4.2
みなみ会館で二度目。

初回:
ポーリーヌの透明感に惹かれてこの映画をずっと観たいと思っていました。

この映画ではポーリーヌの周りの男女の恋沙汰に巻き込まれてしまうことが主な物語の線でした。海沿いのバカンス地の美しい風景、具体的には紫陽花や壁にはうツタ、などなどから夏の匂いを感じました。
ポーリーヌの服も美しく、とくに後半に庭でお茶をする時に着ていた、小さな花柄があしらわれた白い服が綺麗でした。

恋の話ではピエールに同情してしまいましたが、彼のような正義感の強い青年は往々にして、その正義心が仇となり、女性には押し付けがましいと捉えられてしまうのだろうなと思いました。ポーリーヌが彼に率直に「平凡」という言葉を使ったのはすこしかわいそうだなと思いましたが、実際にそう思われてしまったのもしょうがない、と思ってしまいました。(どこか自分にも思い当たる節が色々とありましたね。やはり登場人物への共感は自分への反射のようなものなのですね。)
やがてマリオンの(一方的であった)恋も終わり、ピエール、シルヴァンとの関係の行き先もないまま物語は終わります。これはこれで一夏の短い恋を捉えられているような気がしてかえって清々しく終わったのではないかな、と思いました。

作中での愛に関する会話はとても哲学的な言葉で語られていて、いかにもフランス映画らしい話劇だなと思いました。
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