EDDIE

パニック・ルームのEDDIEのレビュー・感想・評価

パニック・ルーム(2002年製作の映画)
3.3
緊急避難用密室“パニックルーム”に逃げ込んだ母娘と強盗の攻防戦。演出の施しで緊迫感は保たれるが、フィンチャー作品だと期待すると肩透かしを喰らう。大衆向け気軽に観れるサスペンススリラー。

私デビッド・フィンチャー監督が大好きです。『ファイトクラブ』『セブン』『ゴーン・ガール』はBlu-rayも持っています。
ただ彼の作品で未鑑賞作品が2つ。『エイリアン3』と本作でした。
キャストはジョディ・フォスターが主演メグ役で、娘サラ役を若かりしクリステン・スチュワート、強盗3人組のうち2人はジャレッド・レトとフォレスト・ウィテカーと豪華。
私はミーハーで有名俳優が出てればそれだけでそれなりに楽しめるタチですが、正直本作はフィンチャー監督の良さは発揮されていません。人間の本当の恐ろしさや悍ましさ、秘めたる本性、巧みな仕掛けによるミステリー要素などなど、本作にはそれらは皆無でただ強盗から身を守りながら戦う2人の母娘と大した驚きの展開もないまま安全に終わっていくというもの。

夫スティーヴンとの離婚調停の最中、その夫に買わせた豪邸に娘サラと越してきたメグ。その引越し初夜にしていきなり強盗が侵入してくるという驚きの展開。開始30分ほどはこの母娘の関係性や信頼度合が見えたり、強盗の動機や心理面を見たりとそれなりに楽しめます。
ただ本筋の攻防戦からクライマックスまで驚きの展開はあまりなく、しかも強盗の詰めの甘さから徐々に緊張感が薄れてくるという、もはやこれはフィンチャー監督というより脚本の問題かも。

脚本を手掛けたのはサムライミ版『スパイダーマン』や『宇宙戦争』、『ザスーラ』、『天使と悪魔』や『インフェルノ』でも脚本を手掛けたデビッド・コープ。どれもいい作品なんですよねぇ(宇宙戦争は個人的には物足りませんでしたが)。もはやただの商業作品として世に送り出しただけのような感覚。

突っ込みどころも多くて、強盗と攻防を繰り広げている最中夫のスティーヴンが登場しますが、なぜに1人なのか。すぐに警察が来てくれると思ってたから?だったら警察と来いよと。
あとはクライマックス。ここにフィンチャーの良さを入れ込んでほしかったんですが、強盗の中で唯一良心的なウィテカー演じるバーナム。彼はメグの娘サラと少しばかり距離が近づいた心理的変化もあり、クライマックスでは驚きの行動をとります。
ただ結局その後に予想外の展開になどならず、淡々と結末を迎えていくんです。
いやぁ、そこはバーナムだけサラの一声で助かるとかさ、なんかもう一捻り欲しかったですよね。

まぁ逆を言うとフィンチャー監督作品が苦手な方でも気軽にハラハラできるスリラー映画ということでしょうか。

※2020年自宅鑑賞185本目
EDDIE

EDDIE