みんと

女が階段を上る時のみんとのレビュー・感想・評価

女が階段を上る時(1960年製作の映画)
4.0
いや~面白かった!またしても甘く見てた。

夫に先立たれ銀座のバーの雇われマダムとして働く圭子(高峰秀子)を中心に、華やかな夜の街で繰り広げられる女たちの人生の物語。

流れるジャズにしても着物の着こなしと言い何処か粋さが漂う。更にはノワールな雰囲気すら…

同じバー仲間でもそれぞれ仕事に対する考え方は違っていて、様々なキャラ達のそれぞれの生き方が妙にリアルだった。とりわけ圭子と純子の対照的2人の価値観の違いが面白い。

1960年の公開を思うと現在の銀座に持つイメージとは明らかに違いは感じられる。けれど当時の社会的な空気感もしっかり汲み取れる。

女性目線では、タイプの違う男性達の誰を選ぶべきか勝手に品定めする楽しみもあり、逆に男性目線ではいったいどう感じるのだろうか…と興味も湧く。

今よりずっと男性に対する依存願望が強かった時代に、ボロボロになりながらも品位を保ち覚悟を決めた圭子ママの潔さ。そして階段を上る後ろ姿には凛とした女の強さを感じた。


通して、銀座のママを追った昭和版『ドキュメント72時間』のようでもあり、自然と“川べりの家♪“が脳内再生されそうな鮮やかな人間ドラマだった。
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