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クラッシュのZRのネタバレレビュー・内容・結末

クラッシュ(2004年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的脚本力、構成力。
ロサンゼルスを行き交う人々が偶然にクラッシュする瞬間を描いた作品。

それぞれの人がそれぞれの事情を持っているが、それを単体で描かず、群像として描くことで、よりスケールの大きな憎しみと優しさを描いている。人間の優しさが絶対的であり得ないように、人間の憎しみも絶対的ではありえないという希望を抱かせてくれる。

前半の悲しく苦しい衝突の数々が、後半の相変わらず悲しいが心打たれる衝突の数々へと繋がっていく様子は圧巻。非常に映画的で繊細で美しい構成だった。

ライアンとクリスティンの事故現場のシーン、憎しみで繋がれていた二人が狭い車内で5センチと離れない距離で顔を合わせ、心が繋がってゆく様子は、その構図がダイレクトに観客の胸を打つ名シーンだろう。

複数回の鑑賞によってより深みが増してゆく作品。
いくらでも見直したい。
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