あや

クラッシュのあやのレビュー・感想・評価

クラッシュ(2004年製作の映画)
4.8
ベストムービー番狂わせです。
とんでもない映画に出会ってしまった、というあの独特な感覚を久しぶりに味わいました。

ロスで起きたとある交通事故から物語が遡り、何ら接点のない7組の人物に焦点が移り変わりながらも複雑に話が絡み合い、“クラッシュ”していきます。
ポール・ハギスによる、大変緻密に練られた脚本だと思います。

テーマとしては、「人種のるつぼ」と言われる多民族国家アメリカに根付いた人種差別を扱っていますが、このご時世、アメリカに限ることではありません。人と人とが関わり合って衝突し、互いに影響を与え合いながら生きている。人種や格差、ジェンダーの壁を越えた共存と、普遍的な人生の不条理やその真髄に迫っています。

この作品は上映時間の112分の間にたった1日半しか時が流れません。ですが、そのたったの1日半という僅かな時間だけで“人が社会の中で生きていく”ということの本質を全て語り切っているように思います。
あや

あや