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容疑者Xの献身のkuuのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
3.5
辞書によると、『献身』ってのは
1 他人やある物事のために、わが身を犠牲にして尽くすこと。「国家の発展に献身する」
2 キリスト教で、神のために、生涯をささげること。

とある。この『献身』を題名に入れた東野圭吾は素晴らしい。
『献身』と云う熟語が物語に絶妙に合ってる。
それに、題名はユーモラスにとんだ皮肉表現でもあると感じた。
『献身』の持つところの意味が物語が進行する中少しずつ解明されてく。
罪の発見を防ぎ秘し隠すことが罪の連鎖を生み出しTragedyにつながっていく。
初めは極々服のボタンの掛け違えと云う齟齬が、、、
他者の罪を隠すことが果たしてホンマの愛なのか?
いや、そうではない。
なら、罪を犯した者の身代りになることがホンマの愛か?
これまた、違う。
そこまですることでもないんちゃうかな。
LOVEてののコミュニケーションのあらわれは人それぞれやけど、
己じゃなく他者を犠牲にするんはどうも引っかかる。
ましてや、そんなことを知りながらも幸福に生きていけば、それは自己中心的にほかならないし、幸福だと心から云えないんちゃうかな。
とどの詰まり、石神は献身したんじゃなく、自己満を追い求めて、LOVEじゃなく、己の力に驕り高ぶってたとしか云いようがない。
愛や幸福が果たして献身の本当の意味が何なんかなぁ。
そのために、もって生まれた才能や時間、そして、労力をどの様に使えばいいんかを深く考えさせられた。
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