ヒロオさん

父親たちの星条旗のヒロオさんのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.6
硫黄島の戦いをアメリカ側の視点で描くとともに、ピューリッツァー賞を受賞した有名な星条旗写真の裏側に迫っている。

太平洋戦争屈指の激戦地であった硫黄島。米軍にとっても過酷な戦いであり、死傷者数は日本側を超え、2万7千人であった。また、当初の予定では5日で攻略する計画であったが、最終的には1ヶ月以上の時間を要した。

日米のどちらかに肩入れすることなく、戦争で命が失われる悲しみが万国共通であることを伝えている。当たり前のことだけど、日常生活でさえ嫌な奴と出会うと燃やしたくなる私からすれば、心に留めておくべきことw

本作の肝となってくるのは、帰還兵の戦後の葛藤である。兵士たちは硫黄島で星条旗を掲げた後、市民の戦意を高揚させるための広告塔として「英雄」と称され、利用されていく。

彼らが戦争を経験していない人々との間に心の距離を感じる様子が、ありありと伝わってくる。あまりに辛いことを経験した人って、言葉でいくら伝えても理解してもらえないと悟るから、喋らないのかもしれない。語りえなかったことにこそ、苦しみの本質があるのだろう。

冒頭のセリフが印象的。
「(戦争について)皆、単純に考えたがる。善vs悪…だが実際は我々の思うようなものではない。私が知る者は皆、あの戦場の話を嫌った。忘れたかったんだろう。…多くは栄光と無縁に散る。…遺族には『国のために死んだ』と。本当はどうだか。…戦争の実態というものは、想像を絶するほど残酷なものだ」

もう少しコンパクトにできたとは思う。
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