emix39

父親たちの星条旗のemix39のネタバレレビュー・内容・結末

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

『硫黄島からの手紙』との二部作で、アメリカ側から見た戦争を捉えている。星条旗を摺鉢山頂掲げて英雄とされた兵士達の実話。その真実を語ろうとしなかった衛生兵・Docの息子が紐解いていく形でストーリーは進む。
たまたまその場に居合わせたことで英雄となり、そして生還した3名は、戦場の現実と異なる捉えられ方に躊躇しその扱いを拒むが、戦争国債の広告塔となることで仲間たちの報いにもつながると考え、国のプロパガンダに身を委ねる。だが、戦争も終わるとかつての英雄も使い捨てられる。その後の彼らまでを写すことで、人々が虚像でも作り上げたかった「英雄」のとりとめのなさを痛感する。「英雄」は人々が必要に駆られて作り出すもの。そうでもしなければ国のために命をかけて戦うことができないからだ。だが、彼らは国ではなく、共に身体を張った仲間のために戦うのであって国のためではなかった。
戦争の存在がますます分からなくなる。
さらに同じ戦争でも日本(硫黄島からの手紙)は必死で迎え撃つ、まさに背水の陣の形相だったのに対し、アメリカ、特に国内の様子は穏やかなもので勝って当たり前の戦いだった、という映し方。こうも違うものかと若干ショックも受ける。
emix39

emix39