フライ

父親たちの星条旗のフライのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.8
本作を観るとクリント・イーストウッドや製作者の素晴らしさが良く分かる。
一般的な戦争映画は一方的な側面からしか描かれないのがセオリーだが、本作と硫黄島からの手紙のアメリカ側と日本側双方に目を向けた製作には驚くし、アメリカ人の彼らが、これだけアメリカと言う国を揶揄した内容で製作するのは本当に凄い。
本作で取り上げた硫黄島での星条旗を掲げた写真は余りにも有名な写真だが、本来であれば兵士を英雄や悲劇の象徴として描くのがセオリーなのに写真を絡めたプロパガンダや先住民族への差別、更には、国の人権無視や命軽視とも取れる皮肉を込めた内容はとても感慨深く、色々な意味で心が傷んだ。
これまで戦争映画の戦争への嫌悪感は兵士や市民の悲惨さや苦しみを描いたものが多い中、国と兵士、国民の異質な関係を描いた内容はとても考えさせられたと同時に色々な視点で観れる力の大切さを感じた。
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