TaiRa

スージーの真心のTaiRaのレビュー・感想・評価

スージーの真心(1919年製作の映画)
5.0
映画ってグリフィスがリリアン・ギッシュ撮る為に完成させた芸術形態なんだなって。もう映画ってこれだけで充分でしょ。

リリアン・ギッシュという女優、いや存在そのもが尊過ぎて堪らない。ただただ彼女に魅了される。幼なじみのウィリアムに恋するスージー=ギッシュの可愛さが宇宙的。地味っ子スージーのヒョコヒョコした歩き方、ボケっとした表情、ウキウキしたりしょんぼりしたり、もう何もかも可愛い。スージーとウィリアムのキスしそうでしないアクションの絶妙さ。別れ際見送る時のソワソワした動き。こういう一連の動きもいちいち凄い。身体表現力の高さが映画俳優の肝だとすればギッシュは史上最高の映画俳優という事になるな。恋に恋する女子の表現として提示される一つ一つが最高で、彼からの手紙にチュッチュチュッチュとキスしたり、恋バナを姉妹のデイジー(家で飼ってる牛)にしてみたり、デートで街に出掛けた時に背伸びしてお洒落したら靴がキツくて辛かったり、派手な都会のギャル見て焦ったり、日記に恋の進捗状況書いてみたり……。恋敵のパリピ女子が登場してスージーの片想いが悲恋になって行く過程も面白い。盗み見を反復させドラマを加速させる。ウィリアムがお人好しでバカだからスージー可愛そう。要所要所に入る回想の使い方がバリ上手い。リアルタイムで描かれた美しい場面が、回想によって再提示される事で美しさが倍増する。スージーが悲しみに暮れてポテッと庭に倒れるショット良かった。ラストで盗み見される関係が逆転してハッピーエンドなのも綺麗。元祖アイドル映画。
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