千年女優

理由の千年女優のレビュー・感想・評価

理由(2004年製作の映画)
3.5
荒川区にそびえ立つ高層マンション「ヴァンダール千住北ニューシティ」のウエストタワー2025室で起こった、一人の転落死と三人の殺人事件。当初被害者はこの一室に住む一家と思われていたものの赤の他人であることが判明。謎が謎を呼んで世間の注目が高まる事件の真相が数十人の証言から次第に露になる様を描いたサスペンス映画です。

現代日本を代表する人気作家の宮部みゆきの代表作で直木賞を始めとする数々の賞を受賞した大ヒットミステリ小説をWOWOWの二時間ドラマとして大林宣彦の監督で映像化した作品で、原作のルポルタージュという設定に合わせてドキュメンタリーの形式で製作され、主人公不在の物語が話題になってテレビ放送後に劇場公開もなされました。

大ヒット作故に脚色の余地は限られてたはずがしっかりと大林映画になっていて、進むにつれてどんん空虚になる物語で当時「ふるさと映画」を手掛けていた彼が思う「東京」と「東京人」が描かれます。その東京感の是非はさておき、大林流の「つくりもの」演出が図らずもミスリードになっていてサスペンスに奥行きを与えている一作です。
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