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ごめんのemilyのレビュー・感想・評価

ごめん(2002年製作の映画)
3.8
 大阪に住む小学6年生の七尾聖市。授業中に精通を体験し、頭の中は性の事でいっぱい。ある日京都の中学2年生のナオコに一目ぼれし、住所を探しあて、彼女の父親の営む喫茶店に通うようになる。告白までこぎつけるも撃沈。何度かデートをし、彼女は両親の離婚で悩んでいるが何もできない。相変わらずナオコには子供扱いされ苛立ちをぶつけるが。。

 昭和を感じさせる風情ある家だったり、古き良き風習を取り入れながら、小学生の聖市ことセイとナオコの目線にカメラは寄り添い、二人の日常の悩みを交差させながら、恋することで成長していく様をユーモラスに切り取り、軽快な大阪弁にのせて綴る。二人を取り巻く大人達を演じるのは豪華俳優陣達で、どこかほのぼの温かみがあり、二人を盛り立ててくれる。昭和を感じさせるしっかり怒ってくれる先生も筋が通っており、その奥には人間の優しさがにじみ出ている。

 小学6年生と中学2年生の歳の差。たった2歳の歳の差がこの時代にはまるで子供と大人ぐらいに大きく、二人の歳の差がしっかり繊細に表現されており、さらには男と女の年齢差というのも大きく感じ取れる、性をテーマにしながら非常に繊細かつ温かみのある作品になっている。

 それぞれ日々悩み、もがき、少しずつ大人の階段を上っていく。誰かを好きになり、誰かを守りたいと思った時、人はおのずと成長していくのだ。セイの表情もぽわーんとしてたのがラスト剣道着のまま自転車で大阪から京都へ向かう道中で、徐々に凛々しくなっていき、男臭さ汗臭さを感じさせる。

まだまだ子供でかわいい二人。それでも二人の物語の中には人を思いやる気持ちがいっぱい詰まっている。ナオコが両親のために、セイのために神頼みするシーン。自分のことは一切願わず他人を思えるというのは、やはり少なからずとも両親の愛情を受けて育ってきたからだろう。二人の周りには素敵な大人達がいて、自由に羽ばたかせてくれている環境づくりはやはり大事だと感じさせる。あの頃の自分と重ね合わせながら、心潤い、大人になるということを改めて考えさせられる。
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