あーさん

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-のあーさんのレビュー・感想・評価

-
少し前に書いたレビュー

もっと戦争について考えよう!2019.第2弾

昔から不得意だった現代史。
争いそのものが苦手な私は、大人になってからも戦争の話題を避けてきた。
しかし世界情勢が緊迫する中、無関心ではいられない。
一体何故、日本が太平洋戦争に参戦することになったのか?少しずつ紐解くと、もっと知りたくなった。特にきっかけとなった真珠湾攻撃の全貌、、
それはどういうことだったのか?

Filmarksを始めてから毎年8月には必ず戦争に関する映画を観るようにしていたが、今年の夏からはもう少し頻度を高めて観ていこうと思い、この企画を始めた(本当は三船敏郎主演・丸山誠治監督の同じタイトルの作品を観たかったのだが、入手できず、、残念。)。

色々なところで目にする山本五十六という人に興味があったので、役所広司がどんな風に演じているのかも含めて観てみたかった。

監督は成島出。
"八日目の蝉"、"ソロモンの偽証 前編/後編"はレビュー済みだが、どちらも見応えある作品だった。
今作は半藤一利監修の元、作られた。
半藤一利と言えば歴史作家。"日本のいちばん長い日 運命の八月十五日"の作者でもある。こちらも岡本喜八監督、原田眞人監督によって映画化されていて、どちらも観たが骨太で日本という国、そして日本人と戦争を八月十五日という一日にスポットを当てて描いた作品である。原田版で阿南惟幾陸軍大臣を演じた役所広司もとても素晴らしく、今でも心に残っている。

今作でも、こういうシリアスな役どころの役所広司の演技は、真に迫って間違いないなぁ。。と思わされた。
そして、架空の東京日報の記者(玉木宏)の視点が、五十六の人物像に奥行きを出しているのではないだろうか。
"目と耳と心で世界をよーく見ることだ"という五十六から記者への言葉が心に響く。

柄本明、阿部寛、柳葉敏郎、椎名桔平、中原文雄、伊武雅刀、香川照之…他、確かな演技力の俳優陣が脇をしっかり固めていた。

俳優の演技とCGによる特撮シーンが分断されていて、スケール感がなく感情が盛り上がらない…という記述も見かけたが、要所要所に山本五十六の人間臭いエピソードが盛り込まれ、何故そうなっていったか歴史の流れを追っていくには、十分興味深い作品だった。
より戦争の中の"人間ドラマ"を描こうとしたのではないかな。

歴史とは、"こうである"という確固たるものが持ちにくい為、どんなものを観ても真に受けず、様々な角度から見るようにしたいと日頃から思っている。
難しくて消化できない点も多々あったけれど、色んな意味で観て良かったと思えた。

不確かでよくわからない歴史もたくさんの作品を観て理解を深めていくうちに、本当のことが見えてくるような気がしている。

まだまだ、歴史の旅は始まったばかり。
関連の本も読んでいきたいし、これからも戦争に限らず、歴史物も積極的に観ていこうと思う。

時間をかけて、ゆっくり咀嚼したい作品。。
あーさん

あーさん