ひええ

コズモポリスのひええのネタバレレビュー・内容・結末

コズモポリス(2012年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

タイトルロールのジャクソン・ポロックと、エンドロールのマーク・ロスコが象徴しているように、これは対象と非対称についての映画である。
クローネンバーグ自身が非対称の作家であるが、対象的なものを良しとする社会に対して、歪んだものの重要性について語っているように思われる。
主人公エリックは、自分の「左右非対称な前立腺」すら気にかかるような人間だ。彼は投資家として成功したが、人民元の気まぐれさを追えなかったために財産を失い、完璧なリムジンの中で一日にして徐々に転落してゆく。
整頓された資本主義社会に期待したのは、エリックだけではない。最後にエリックを殺害しようとする元従業員は、我々小市民(貧しめ)を代表する存在のように見えるが、彼の、「俺のことを癒し救ってほしかった」という台詞が妙に心に引っかかった。
現実の資本主義社会は、整頓されてなんかいない。歪んで穴だらけなのだ。その歪みに目を向けることこそが、この世界を生き残るコツである。
と、クローネンバーグは言いたかったのだろうか?絶対こんなもんじゃないよなあ、ああ難しい...
脇役ながら、クリームパイのアクションペインターの存在が良かった。
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