青二歳

勝利の基礎(いしずえ)の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

勝利の基礎(いしずえ)(1941年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1941年ドキュメンタリー。イケメンばっか選んでるでしょ…( ´ω` )フフ..
海軍兵学校の紹介映画。さすが将校育成機関だけあって授業の高度さがすごい。さらに弓道なんて当時既に実務的でない武道をやるとは"五省"など精神の鍛錬も重んじた海軍兵学校ならではでしょうか。今作もカメラワークが面白いです。三年半のカリキュラム消化をフィルム重ねたりうまく表現した編集だし、モノと人ぜんぶ、情報をうまくフレームに納めています。海軍兵学校のカリキュラムがよく分かるし、彼らが何を大切にしていたかもよく分かります。
「弾尽き銃折れなば、刀剣をもって戦こうべし。刀剣もまた用いべからざるに至れば腕力をもって戦こうべし。腕力用い得べからざるに至らば、すなわち精神をもって戦うべし」というラストのちょっと何言ってるか分からないですな台詞も、江田島兵学校のカリキュラムを丁寧に追ったあとなので、一応無茶な精神論ではなく、精神教育の表れとしての台詞と理解できます…

これまたリクルート映画でもあります。イケメンばかりでもないんですが皆カッコいい。欧米人みたく胸板や肩の厚みのあるマッチョではないですが、兵学校の青年たちの鍛え抜かれた肢体と所作は美しいです。また飛込みが美しいこと。今作は甲板からの飛込みとかいうまさかの超人技。みんなこんな事出来てたのかい(´°д°`)

さてなんと珍しく“敵”が出てきます。テキストで「此の一篇を大東亜戦争に参加し米英打倒に邁進 赫々たる戦果を挙げつつある我が海軍将兵に捧ぐ」と。まぁ具体的に米英とでるのも珍しいのでメモ。あとナレーションに「宿敵米英」と出てきます。宿敵と書いて友と読むのか宿命的な敵なのか分かりませんが、修飾語も気になるところですね。でも兵学校の先生は「現下の国際情勢〜云々」と言います。「ジャップ」連呼するアメリカのドキュメンタリーフィルムに比べたらまだまだですね…

クレジットには、「海検第拾三號 昭和拾六年拾二月廿日(昭和16年12月20日)、海軍省 呉鎮守府検閲済」とのこと。呉がやっていたんですか。江田島だからですかね。
あと面白いのは冒頭の「海軍省推薦レコード 無敵海軍遂に起る」ボリドールレコードP5220。なんかツボ。ラスト10分で流れます。よく聞き取れないけど、ここにも米英撃つみたいな歌詞がありますね。比較的ちゃんと具体的に敵国の名前が出てくるフィルムでした。むしろ他の国策映画は敵国名さえ出てこないのかよって話ですが、あんまり出てきませんからね…
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