垂直落下式サミング

破壊!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

破壊!(1974年製作の映画)
5.0
バカで、情けなくて、無力だけど、愚直に職務をこなすはぐれ刑事コンビが巨大な組織犯罪に戦いを挑むポリスアクション。彼等が事件を捜査するうちに警察内部に蔓延る麻薬組織との癒着が明るみになる。主人公たちは、これ以上事件に首を突っ込むなと上司に釘を刺されるが、刑事として正義を遂行できない憤りから麻薬組織のボスに私的な嫌がらせを始める。
70年代ニューシネマの血湧き肉踊る高血圧な演出が見物。チェイスシーンとはこう撮るのだ!銃撃戦とはこう撮るのだ!カークラッシュとはこう撮るのだ!そう言わんとするかのような激しい描写が満載だ。
カメラの位置、移動、編集、撮り方が凝っているだけで、当然CGや特殊効果なんて使っていない。少しの工夫で牧歌的で雑然とした世界に突如として緊張と躍動が生じ、一緒に走り出したくなるようなパワフルでエネルギッシュな疾走感が演出されている。走って逃げて、それを撮る。それが映画だ。廊下から、階段、街路、ナイトマーケットへと展開してゆくチェイスシーンは心の底から感動する。 どんな映像でも作れてしまう今だからこそ、活劇映画の根源とも言えるこの泥臭さを体感して欲しい。