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晩菊のleylaのレビュー・感想・評価

晩菊(1954年製作の映画)
4.2
杉村春子さん目当て。林芙美子原作をベースにした成瀬巳喜男監督作品。

かつては芸者をしていた4人のアラフィフ女性。金貸しをしているおきん(杉村春子)、彼女からお金を借りている、たまえ(細川ちか子)おとみ(望月優子)、おのぶ(沢村貞子)。金貸しと借りてる3人の立場の違いや、やりとりが面白い。

戦後数年が経ち、めまぐるしく変わる時代の中で生きる女性たちの悲喜交々を描きます。原作では主人公のおきんは56歳。

杉村春子さんは飄々とした役をやらせたら右に出る者はいないんじゃないかな。かつて好きだった年下の男(イケメン上原兼)が訪ねてきて、急に身ぎれいにして少女のように浮かれる様子。男が金の工面に来たと知り、急に冷めた態度になる落差。うまいなぁ。

望月優子さんが素晴らしい。悪口を言い、ギャンブルをし、酔っ払う姿がリアル。ラストにモンローウォークしちゃう演出は、コメディ感があり新しい時代に順応していこうとする希望が感じられて素敵。細川ちか子さんも弱そうなのに真は逞しい、そんな女性像が浮かび上がるいい演技でした。

夫がいないと女が生きて行くのは大変な時代です。女が一人で生きて行くには、お金がある方が幸せか、お金はなくとも子供がある方が幸せか。そんな2択を忍ばせる。お金はなくとも女友達は必要だと思いました。

陰口の言い方とか、マウントの取り方とか、空々しい褒め合いとか、これぞ女性ってのがよくわかってるなぁ。さすがは成瀬巳喜男監督。

老いをテーマにした、女性賛歌というべき作品でした。
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