LEONkei

ゴッド・ディーバのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ゴッド・ディーバ(2004年製作の映画)
3.5
〝愛もセックスも不要、ユージェニックス社で衛生的に子供を作ろう〟

こんなアナウンスが地上の空間から流れる、2095年の近未来都市ニューヨーク。



フランスのバンド・シネ作家〝エンキ・ビラル〟(漫画家)の代表作『ニコポル3部作』を、独自の世界観と斬新なビジュアル感覚で描く近未来SF映画。

リドリー・スコット『ブレードランナー』、ウォシャウスキー『マトリックス』、リュック・ベッソン『フィフス・エレメント』などなど、『ニコポル3部作』は多大な衝撃と影響を与えた。

大友克洋の『AKIRA』にも通ずる所も有り数十年前に自分も見た『ニコポル3部作』だが、背景・建築物・装飾・アイテム・登場人物など緻密で独創的なディテールで圧倒された。

映画は実写とCGを物語の展開に合せ巧みに融合させ、ダークな近未来を人類とミュータントと異星人…そして人類を創造した神が天空の巨大ピラミッドに君臨する。

現代の最新CG技術やハリウッドにこの映画を託したなら、よりリアルに作りド派手なアクションや愛など折り混ぜ人類を救うぞと言い出しかねない。

しかし、それを拒んだかどうかは分からないが〝エンキ・ビラル〟自身が自ら監督し、独自の世界観とストーリーを描きたかった創造者の拘りが映像に伝わってくる。

漫画で描ききれなかったビジュアルは、新たに独創的なビジュアルに進化し〝エンキ・ビラル〟ワールドにどっぷり浸れる作品。

毎度のことだが邦題のセンスの無さに幻滅してしまうが、どうせ原題が伝わりにくいのなら『ニコポル』で良かったのではないか。



もし本当に神が人類を創造したならば、神は今の人類に幻滅し新たな生命を誕生させるだろう..★,
LEONkei

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