Hagieen

大帝の剣のHagieenのレビュー・感想・評価

大帝の剣(2006年製作の映画)
1.0
「大帝の剣」の映画化が決まる前から、よく友人とはキャスティングなどを話しあったものだった。
私と友人の間で、「獏俳優」という言葉がある。
これは夢枕獏氏の作品によく描かれる主人公たちが、背丈が高く、筋骨隆々で肉厚のあるキャラクターが多い事から、
それらのイメージに合うような俳優の総称として使う。
例えば船木誠勝、永沢俊夫みたいなタイプなどが我々の言う獏俳優にあたる。
「知名度や動員とか考えると、阿部ちゃんかなぁ・・・」などと今回主役の阿部寛の名前も出していた。
ただ、万源九郎のイメージはもうチョット肉厚な感じなので、阿部寛だと少しスマートなんだよね。

監督は「トリック」などの奇才・堤幸彦。

映画化発表からしばらくすると、だんだんと映画のキーヴィジュアルなどをメディアで視ることとなる。

「ン??・・・・・・・・・なんか勝手にこちらがイメージしていたものとは違うぞ!」

原作「大帝の剣」の挿絵はファイナル・ファンタジーやタツノコ作品でおなじみの天野喜孝氏。
その流麗で耽美なイラストとあいまって、自分はもっと彩度の低い、硬質な絵を想像していた。
ところが、映画のキービジュアルはなんともノーテンキ。原作が持つイメージとはかけ離れたものであった。
どうも堤監督は原作のイメージどうりには造る気がないらしい・・・・・お笑い要素を入れる気か?・・・・・・・
原作の一ファンとして、このアプローチは納得いかない。もっとハードで硬質なモノが観たいのだ。

しかし、しかし、だ。
この「大帝の剣」は時代小説を謳って連載開始されたが、その設定は荒唐無稽。
中途半端に大真面目に造ったところで、B級以下になるのは目に見えている。
であるならば、違うアプローチのしかたでの映像化もあるのではないか?
なんと言っても奇才・堤幸彦! 彼なら何かしてくれるかもしれない!

「観てみないとワカラナイじゃんッ!!」
そう思っていた矢先の、友人からの誘いであった。


以下、鑑賞中の私の心の変化を書いてみました。
鑑賞開始!

「をっ! CGいっぱい使ってるぞ!」(頑張ってるが、イメージあわねぇな)

「江守徹の語り(ナレーション)がマチャアキの西遊記みたいだぞ!」(なんか喋りすぎなんだよ)

「アクションは頑張ってるけど、グッとこない」(カメラや編集のせいだと思う)

「竹内力、最高!」(彼なら特殊メイクじゃなくても、破顔坊を演じられると思うんだよなぁ)

「竹内力の扱いが酷い。でも喜々として全力で演じている力兄ィは最高です」(源九郎=竹内力ってのもアリだと思う)

「無駄にスプラッタ、無駄にCG、無駄にコンポジット、無駄に蘇る・・・・・・」(堤演出ってこんなに酷かったっけ・・・)

「ツマラネェ・・・CGエフェクトが派手になればなるほど興ざめ。早く終れ!」(役者は頑張ってるのに・・・)

「エンディングのGLAYの真面目な曲が、この不真面目な映画にミスマッチ」(もったいない)


なんだろう・・・疲れたよ、この映画。
これを夢枕獏原作って言っていいのか?
堤幸彦のふざけた金髪を刈り上げたい衝動に駆られました!
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