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世界はときどき美しいのminirezoのレビュー・感想・評価

世界はときどき美しい(2006年製作の映画)
4.5
世界はときどき美しい。
いいえ、世界は本当に美しい。
そう気づかせてくれる映画。

この映画は5篇からなるオムニバス。
短編集。

「1」
ヌードモデルという仕事をする。彼女は幼い頃から鏡の前で泣いていたことを「私はその頃から誰かに見られたいと思っていた」と語る。きっとそれは誰しもが求めている欲求なのだろうが、どうにもそううまくは行かない。自然というもの、つまり、雑草はどこにでもありふれてはいるが、きちんと名前があり、そこにある。
僕にも名前があり、ここにいる。

「2」
蝿男は、大阪は新世界という場所で飲み明かす。「酒に溺れて寝ちまえば明日になってる」そんな姿で飲み歩く。本人ですらなぜ飲んでしまうのかすらわかっていないのであるけれど、僕はこんなふうに思った。
生きていることの素晴らしさとは裏腹に、生きていくことの辛さもあるということ。それを忘れるために、あるいは、はやく終わらせるために。永遠とも感じる茫漠とした時間を酒に溺れ寝ちまうことで、明日に進もうとしているんだ。
そんな夜もあっていいと思った。

「3」
男女の物語。
この話はなぜだろう。あまり印象に残っていないけれど、男女という間柄において「幸福」というものは、いったいどう感じ得るのだろうという感覚が少し、残像になっている。

「4」
天体観測者。「宇宙と認知されていない宇宙を考えるのはナンセンス」どれだけ大きなことであろうと、どれだけ小さなことであろうと、認知しているから存在があり、想いをはせることができるのだ。
宇宙の始まりを語るスナフキンのような生き方を背負う男が、男と女の始まり、生命のはじまりを「認知」したとき、背広を着た。
彼は、そのとき、スナフキンの帽子をおいたのだろうか。

「5」
本当のことはわかっていながらも、そこから少し目をそらしていないと、うまくやっていけない人の姿をみる。途中、話がかみ合わないが、話は次へと展開していく。母は、いったい何を思うのだろうか。
夢の続きとは、いったいどんなものなのだろうか。
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