shen1oong

アマデウス ディレクターズ・カットのshen1oongのレビュー・感想・評価

4.7
午前十時の映画祭で鑑賞。
面白い、しかし、長い!犬伯爵のシーンをバッサリ切った公開版は正しかった。(コンスタンツェのヌードは入れても良かったかな笑)
未だに中世の雰囲気の残るチェコの街並みと、レンブラントの絵画を思わせる照明の鮮やかさがこの映画の世界観を大きく支えている。
そしてモーツァルトの音楽。昔は、なんか甘ったるくて嫌いだったんですけど、作品独特の不安定さが好きになってきた。
サリエリは、神に才能を選ばれなかった男として追い詰められていくように描かれているけれど、実のところ彼は常に自身の運命を間違え続ける人物である。冒頭、父の死を喜ぶところからそれは出発し、モーツァルトの理解者として、彼の作品を生み出し残す役割を背負っている(実際、フィガロの結婚は打ち切られなければ次作をいつかけたかもわからないし、反政府の人物として抹殺される恐れすらあったのだし)にもかかわらず意識では運命に苛まれ続けるという滑稽さ。
そして、モーツァルト。トムハリスの好演!このモーツァルトは本当に大好きですね。「僕は下品な人間です。しかし僕の音楽はそうじゃない」という言葉のもつ自負(と甘さ)彼もまた、先の時代のための作品をつくる、つまり生前は評価されない運命翻弄され続けるのだ
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