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007/ドクター・ノオのp99のレビュー・感想・評価

007/ドクター・ノオ(1962年製作の映画)
3.6
新年あけましておめでとうございます(遅い)。
今年のスタートもやはりスパイ映画と洒落こもう。

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『007シリーズ』一作目、『ドクターノオ』。今から54年前に突如現れたスパイアクションの元祖的作品である。

一作目と言えど、甘くみてはいけない。初登場時の台詞、「ボンド、ジェームズ・ボンド」を筆頭に、ボンドのスタイルは既にショーン・コネリーにより完成されてしまっている。

特に前半部の優雅な身のこなし、女性の扱い方、酒の好み、時折見せる非情さ、それらのどれをとっても僕らが想像する「ジェームズ・ボンド」なのは驚嘆に値する。深々と椅子に腰かけ、相手に「S&Wは6発だよ」という言葉をかける余裕を見せて、即座に殺しの許可証《ライセンス》を活用する様など、同性から見ても惚れ惚れする格好よさである。

・・・

後半部は、物語の様相が一転する。今までのハード・ボイルドさが影をひそめ、ボンドたちはカリブ海に浮かぶ「不思議の国」でアリスに引けを取らない体験をすることになる。

今思えば、胸毛の辺りを這い回る黒い毒蜘蛛は「不思議の国」へとボンドを誘う白ウサギの化身だったのかもしれない。ケン・アダムがデザインした秘密基地のセットは、その非現実感に拍車をかけている。ボンドたちがそこで体験する摩訶不思議な出来事を以下に羅列しよう。(ネタバレ注意)

・白ビキニで貝殻を集めるのを家業としている謎の美女との出会い
・原色の服装による潜入《スパイ》活動
・ドラゴンがいると言い張る美女とそれを信じる黒人
・キャタピラの跡を見て、これはドラゴンの足跡だと思う謎の感性を持つ美女とそれを信じる黒人
・火炎放射器を搭載した戦車を見て、ドラゴンはやっぱりいたんだと信じて疑わない美女と黒人
・接待上手な悪役←体についた放射性物質を落とすために美女とボンドの服を脱がすという視聴者への接待も欠かさない
・睡眠薬を飲ませて眠らせた相手の寝顔を見るという謎の性癖を持つ悪役
・触ると爆発する換気口
・換気ダクトの中を流れてくる大量の熱湯
・炉心丸見えな原子炉で働く人たち
・弱点としてしか使われなかったハイパワーな金属製の義手

ツッコミどころは多いけれど、この「不思議の国」感あってこその『007シリーズ』なので、それら全て含めて僕は愛している。これがスパイアクション(半ファンタジー)映画の始まりである!!