改名した三島こねこ

ミスティック・リバーの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
3.6
<概説>

かつて三人は親友だった。
しかし一人が暴行され疎遠となった。
そして25年後。一人の娘が殺害されたことで、彼等の停滞した関係は再び動き始める。嘘とエゴで舗装された物語は、必然破滅的な結末へ。

<感想>

『運び屋』にしても。『グラン・トリノ』にしても。

イーストウッド映画が感動とされているのに納得しつつ、一方でどうしても腑に落ちないところがありました。

『ミリオンダラー・ベイビー』のこと忘れてないかと。

自分がイーストウッド映画を見るにあたって常に感じるもの。それは観客向けの感動ではなくて、イーストウッド監督個人が納得するための軸でした。

登場人物はそれぞれが軸を持っている。

他人に間借りした思想ではなくて、自分から一本貫いた人生の軸。寄り掛かるためではなくて、姿勢を正すための軸。

それを果たせなければ生きているとは言えないし、果たせなくなったならば破滅したほうが、余程私は生きているのではないかと。

この軸は俗にエゴイズムとでも言うのでしょう。

『運び屋』よりも。『グラン・トリノ』よりも。娯楽性はともかくとして、監督のエゴイズムが凝縮されたのはこちらに違いありません。

それゆえ余計に映画評価はままならんなあと悲しくなったり。本作をカッコヨクないからと嫌えなかったり。複雑な心境。


言えることは。本当に。監督の人生観が身に沁みます。