ミスティック・リバーのtのレビュー・感想・評価

側溝に落ちていく赤いボールは二度と取り戻せない。イーストウッドの世界では「あの時もし〜だったら…」という仮定は許されず、「起こってしまったこと」は死ぬまで人に付き纏う。その世界を引き受けながら自らの思う正義に従って生きていかねばならない絶対的な孤独。この厳しい世界を、物語そのものに一切妥協せず格調高い画面で具現化していく凄み。この傑作の手触りはもはや透明な域にある。

• #tjr2017