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ミスティック・リバーのabeeのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.2
【この道はどこへと続く】

しんどくて映画はそれなりに観てるのですがレビューを後回しにしまくっている今日この頃。
アイコンを変えるヒマがあるならちゃっちゃとレビュー書きなはれ。

ということで、これイーストウッド作品だったかーー…
言われてみれば確かに「許されざる者」系映画ですね。

高校生の時に一度鑑賞して記憶に鮮明に残り続けていた作品です。

陰鬱とした雰囲気に殺伐とした内容、そして衝撃的なラストが印象的なこの作品。

物事を複雑に考えすぎてしまうことは時に間違った判断をもたらす。
真実はとてもシンプルで、見た目通りなことの方が多い。

しかし、困ったことにこの作品は幼い少年3人が見た目に囚われて人間を判断してしまったことから始まる悲劇の物語。
例えこんな事件が無くとも、大人になった私たちは物事を見た目で判断できず全てを疑ってかかるのは必然なのかも知れません。
見た目で判断してはいけない、という考えは理想的ですが綺麗事かも知れません。

主演のショーン・ペン、助演のティム・ロビンスのオスカーW受賞にその脇を固める出演者まで助演賞ものの名演が光る。

あの時車に乗ったデイブの名前が、コンクリートに不完全なまま刻みこまれてしまったのは、不条理にもこれを機に壊れてしまった友情を彼だけが最後まで取り戻せないことの表れなのだろうか。

誰も悪くなかった。
それでも人は人を疑い続け、真実を知る時には取り返しがつかない。

悲しいけれどそれが人生で、人はその罪を背負い続けて、償い続けて生きていくしかないのかも知れない。
ジミーの人生は、その罪と償いを繰り返す。

この「許されざる者」が生まれる瞬間こそイーストウッド節でしょう。
確実に「ミリオンダラー・ベイビー」、「グラン・トリノ」に繋がるイーストウッドの人間観の表れた名作と言えるでしょう。
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