【第13回アカデミー賞 作品賞他全6部門ノミネート】
『チップス先生さようなら』サム・ウッド監督作品。ソーントン・ワイルダーの戯曲を映画化した作品。アカデミー賞では6部門にノミネートされたが無冠に終わった。
ニューハンプシャー州にあるとされる架空の町「グローヴァーズ・コーナーズ」を舞台に展開するホームドラマ。隣同士で恋におちるカップルの男を演じたのは『サンセット大通り』などの名優ウィリアム・ホールデン。
いきなり第三の壁を破ってこちらに話しかけてくる。語り手の男がしきりに登場し、架空の町の説明をするという構成になっている。
牧歌的で平和なホームドラマ、ではあるが変則的なつくりも相まってなかなか楽しんで観ることが出来た。
話としては特段言うこともないのだが、この時代の男女観や結婚することというのを温かく描いたザ・アメリカな話。普通によくできている。
テンポのいい編集と気持ちのいい語り口は職人技。全てが調和しつつ、若いカップルがそれぞれ美しく魅力的なのが勝因の一つだろう。