じょの

ロック・スターのじょののレビュー・感想・評価

ロック・スター(2001年製作の映画)
2.5
名前のまんま、ロックバンドをえがいたストーリー。
「ひどい邦題だなあ……」と思ったら、原題も『Rock Star』で、まんまでした。
ヤル気の感じられないタイトルですが、これ本当は『メタル・ゴッド』という題になる予定だったそうです。
『メタル・ゴッド』というのはロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)の愛称。本作はロブの後任でジューダスに加入した、ティム"リッパー"オーウェンズの伝記的映画なのでした(それ知ってたらもっと早く見たよ!)

主演はマーク・ウォールバーグ、ジェニファー・アニストン。
そして他の出演者に、ザック・ワイルド、ジェイソン・ボーナム(ジョン・ボーナムの息子)ジェフ・ピルソン(ドッケン)そしてマイルス・ケネディという、本物のロック・スターがずらずらと出てきます。

ストーリー自体は『ロックを扱った青春もの』という感じで、さらっとした娯楽作なのですが、80~90年代のハードロックファンには嬉しい絵面がいっぱいでした。

ロックファンが“ロックを題材とした映画”を見るとき、気になってしまうのは“映画の出来”ではなく、“ロックの出来”。
ストーリーがどうとかよりも「これはちゃんとロックしているか?」という視点で見てしまうのですが、その結果「これはない」とか「つらくて見ていられません」という気持ちになることも多々あります。
わたしのイチオシロック映画(フィクション映画)である『スティル・クレイジー』も、演奏の場面はかなり編集で頑張っていたけど、でもプレイはしていなかった。
しかし本作はがんばったようです。ステージのシーンはちゃんとロックしていてかっこいい。まあ、これだけの面々を揃えて“プレイしなかった”りしたら、もったいなくてバチあたりますけどね。

しかしながら、バンドの面々のキャラクターはほとんど描かれておらず、メインとなるのは主人公とガールフレンドの恋愛模様。
ロックミュージャンは俳優ではないので、演奏シーンはうまくても、そこに深い芝居を求めるわけにはいかず。
逆に俳優に演奏シーンを演らせると、それはロック的に微妙な塩梅。
ロックと演技、両方できる人など、そうそういるわけもなく。厳しいところですね。

しかしこの映画の主演であるマーク・ウォールバーグは元ミュージシャン。歌こそ吹き替えですが、魅力的なロックスターを演じ切っていました。(メタルとラップ、その畑は海と山ほどにも違いますがw)

本作のストーリーはタイトル同様、簡単なもの。
バンド内の仲間割れ、売れる前から付き合っていた彼女との別れ、方向性についての悩み……等々、「ロックあるある」の王道ともいうべきストーリーです。

映画自体はなかなか面白かったけど、オチでひっくり返りました。思わず「そりゃねえだろ!」と。

でもこう思うのは、私がロックオタだからです。他の評とか見たら「よかった」とか好意的な意見が多かったので、たぶん普通に良い話なのだと思います。(主人公がシアトル出身というのがオチの伏線だったのかも……)

主演のマーク・ウォールバーグ、この人の顔は別に好みでも何でもないんだけど、この作品ではとてもチャーミングに見えます。クリス(役名)めっちゃいい子なんだよね~ すごく素直そうに笑うんだけど、これが芝居ってやっぱり役者はすごいなと感じました。(“笑う”という芝居は私にもできるけど、“ピュアに笑う”ってのは、かなり難しいと思う)

かわいいといえば、マイルス・ケネディ!
ファンの役なんだけど、これがまたキュートな役柄!
10年以上も前なので若くて初々しく、実際の本人だったら絶対にやらないようなハシャギっぷりが可愛くてたまりません!
主人公や他のボーカルたちは吹き替えを使用しているけど、マイルスが歌うところは吹き替えなし!マイルスの声でした!さすが!

ガチのロックファンにはオススメできませんが、“ロックっぽい何か”をのんびり楽しむには良い娯楽作品だと思います。
じょの

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