ジョンヒューストンの傑作であることは間違いなし!
ショーンコネリーとマイケルケインが実にいい味を出している。結局のところ彼らをここまで突き動かすモチベーションはよくわからないのだが、この二人の存在感がこいつらならなんでもできそうだなと観客に思わせる説得力がある。
考えさせられるのが「The Man Who Would Be King(邦題、王になろうとした男」)というタイトルであるが、実際にはショーンコネリー扮する退役軍人ドライポットはカフィリスタンで王ではなく神になるのである。
ドライポットの悲劇は彼の元々の目論見はイギリス式の近代的装備でカフィリスタンの未開種族を制圧し王になることだったが、いつくかの偶然と原住民の勘違いにより神と崇められてしまったことによる。
いかに野心家の彼でも神を目指していたわけではなかった。
王と神の差異が悲劇を呼び込むことになるのだ、王であれば兵法や行政手腕でカリスマ性を維持することは可能であるが、神とは信用でありブランドであり偶像なのである。バブルが崩壊する時は一気に奈落まで行ってしまう。
本作は1975年なのでジョンヒューストンの後年のキャリアの作品になるが、40年代から映画を撮っている巨匠だけに雰囲気がもっと前の50年代くらいの映画の格調の高さを感じる。