岩井俊二による市川崑のドキュメンタリー…というには内容は非常に浅いですけど、市川崑の生い立ちと作品を辿ってます。
とりわけ、奥さんであり脚本家の和田夏十との関係性が大半を占めていた。才能ある奥さんだったんだな。『黒い十人の女』はわたしも好きだし『炎上』も夏十さん脚本(の一人)なんだな。彼ら夫婦の作品をもっとみたいと思いました。
本作は平成18年の『犬神家の一族』のために作られた宣伝ドキュメンタリー作品なんでしょうが、わたしも横溝×市川ファンなんで、後半、石坂金田一が次々出てきてわくわくしましたよ。また見なくては。ただ、見てない作品で思い切りネタバレされててヒッとなりましたが。
昭和51年の『犬神家の一族』ではあのカット割が度肝を抜いたんですね。わたしのよーな映画技法にうとい人間は、そういえば…でしたが、市川崑の映画はいつもサービス満点で面白かった。
封建的な屋敷と女のなまめかしさ、市川崑と横溝正史ってなんかそういうので相性が良かったんだろうなあ。
『本陣殺人事件』の構想もあったのか…撮ってほしかったな〜…
市川の金田一シリーズのおかげで、金田一は明智小五郎より有名になったということだ。
思うんだけど横溝の『犬神家の一族』を市川崑が、松本清張の『砂の器』を野村芳太郎が名作映画に仕立てて今日まで残っているわけだけど、はたしてその映画がなかったら、原作も名作として今も残っていただろうか?今、明智小五郎を覚えている国民は何%ぐらいだろう。
わたしは横溝も清張も好きだし、当然映画より原作の方がはるかに好きですが、それでもそんなことをふと考えてしまいました…がさすがにそれはないか。
ちなみにわたしは市川崑作品の中で『天河伝説殺人事件』がいちばん好きなんですが、これはあてはまるかも。とかいったら内田康夫ファンに怒られるか。