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市川崑物語のShoMのレビュー・感想・評価

市川崑物語(2006年製作の映画)
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リメイク版「犬神家の一族」と併せて公開されたドキュメンタリー。

序盤はスチールと字幕で展開し、後半になって市川崑作品の映像が出てくる。
神山健治が以前「ダ・ヴィンチ」の連載で指摘していたが、岩井作品は視点の変化が重要な要素だと言う。本作では市川崑→妻の和田夏十→岩井俊二という形だ。極端に言うと、途中で「市川崑物語」から「岩井俊二物語」に変貌するということ。

この構成でふと思い出したのが、市川崑「映画女優」だ。田中絹代の半生を描いた映画。この映画、ナレーションと絹代の独白が交差する。ナレーションは映画史を説明し、絹代の個人的な体験は独白という形式。この2つの語りが交差するので、日本映画史内の田中絹代という図式によって描かれていた。
しかし後半、溝口健二(劇中では溝内)と絹代の出逢いからナレーションは消え、絹代の独白のみになる。つまり後半は絹代の主観が起点になっていく。
これが視点の変化の元になっているというのは、穿ち過ぎ?
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